ガガーリンが人類初の宇宙飛行をしたのが今から61年前の1961年、当時は厳しい訓練を積んだ選ばれた人しか宇宙に行けませんでした。それが今や、民間人が宇宙旅行に行ける時代となりました。
そして、2017年、オーストラリアのアデレードで国際宇宙会議が開催され、その席上でSpaceX社のイーロン・マスク氏が、ロケットを宇宙旅行ではなく、国際線旅客機として利用し、海外旅行をするという構想を発表しました。マスク氏によれば、ロケットは最大時速2万7000キロメートルで飛び、東京、ニューヨーク間は約37分で到達し、地球上の殆どの場所に30分以内で到達可能だとのことです。
さて、「宇宙ビジネス」とは、宇宙旅行や移動に限らず、人工衛星による通信(衛星放送・衛星電話)、測位(カーナビ・スマホ)、地球観測(気象予報・情報収集)、宇宙探査、宇宙輸送などがあり、かつては国家が主導していましたが、現在では民間による商業的な宇宙利用が拡大しています。
我が国も内閣府の宇宙開発戦略推進事務局が地域における自律的な宇宙ビジネスの創出を加速させるため、衛星データ等を活用した宇宙ビジネスの創出を主体的・積極的に推進する自治体を「宇宙ビジネス創出推進自治体」と認定することとし、平成30(2018)年に、北海道、茨城県、福井県、山口県を選定しました。また国は、令和元(2019)年に宇宙ビジネス創出推進に関心のある自治体の公募を行い、審査の結果、福岡県と大分県を新たに宇宙ビジネス創出推進自治体に選定しました。
大分県は、米国の宇宙関連企業ヴァージン・ギャラクティック社と提携して、専用に改修されたボーイング747にロケットを搭載し、それを水平方向に発射するという「アジア初の水平型宇宙港(スペースポート)」を大分空港につくるという計画を進めており、その一環として今年、大分空港から飛び立った航空機から、ロケットを発射しようと計画しています。
お隣の茨城県も平成30(2018)年に「いばらき宇宙ビジネス創造拠点プロジェクト」を立ち上げ、宇宙ベンチャー等の創出・誘致と県内企業の宇宙ビジネスへの新規参入を積極的に推進し、宇宙関連企業等に対する財政支援も行なっています。
さて千葉県は首都圏に位置し、また港湾空間規模日本一の千葉港と日本の空の玄関口である成田空港を有し、これらとの連携が可能であることや、令和元(2019)年3月に千葉県夷隅郡御宿町の網代湾沖で、ロケット技術の研究で定評のある千葉工業大学・ASTROCEAN・大林組が世界初となる大学によるロケットの洋上発射実験に成功する等、宇宙港(スペースポート)や宇宙ビジネスの要となり得るポテンシャルを秘めています。
しかしながら、千葉県は「宇宙ビジネス創出推進自治体」に関心を示さず、2年前の国の公募にも名乗りをあげることもありませんでした。今は、コロナで暗い時代ですが、自治体が宇宙に目を向ける時代でもあります。千葉県も県民に夢や希望を語れる県になってもらいたいものです。