千葉県では、今年の1月1日から「千葉県多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成の推進に関する条例」が施行され、「年齢、性別、障害の有無、国籍及び文化的背景、性的指向及び性自認など様々な違いを互いに尊重し、誰しもが生きがいを持って活躍できる社会を築く」こととなりました。
私は県議会や、皆様にお配りする「県政改革」で、「世界幸福度ランキング」で毎年1位となっているフィンランドを例に挙げ、多様性に対する自由度が高く、他者への寛容さを尊重する社会は、女性や障がい者のみならず、差別とは無縁の人たちを含めた、より多くの人たちの幸福につながると、この条例の必要性について述べてきました。
また、多様性を尊重し、人々が共に支え合う「共生社会」ではなく「自助努力」「受益者負担」「自己責任」に重きを置く社会は、人々を苦しめることもあり、「分断社会」につながります。
たとえば、OECD加盟の多くの国が大学の教育費を無償化している中、日本では私立大学の文系学部等で、4年間に約400〜500万円もの学費が必要であることや、北欧諸国などの多くの国で、医療・介護は無償、もしくは自己負担額を低額に上限設定している中、日本では「(医療・介護費用等、老後の備えとして)2,000万円以上の預貯金がなければ『人生100年時代』において、平穏な老後生活は送れない」等が、その例として挙げられるのではないでしょうか。
平成28年(2016年)、国際比較調査グループISSP(International Social Survey Proguramme)が欧州諸国等、35カ国を対象に「政府の役割」についての調査を行いました。
それによりますと、「病人が病院に行けるようにすること」「高齢者の生活を支援すること」「貧困世帯の大学生の支援」「家を持てない人にそれなりの家を与えること」を「政府の責任ではない」と回答した割合が1番多かったのは日本でした。
また、「失業者の暮らしを維持すること」を「政府の責任ではない」と回答した割合は、回答のあった34カ国で2番目に多く、「所得格差を是正すること」は35カ国中、6番目、さらに、「男女平等」は「政府の責任ではない」は2番目に多いという結果でした。
人が持つ、それぞれの多様性に寛容となり、ベーシックサービス(基礎的な社会サービス)における「自助努力」「受益者負担」「「自己責任」の負担を減らし、「現役世代」の使えるお金を増やすことが、市場の活性化と人々の幸せにつながるのではないでしょうか。この「自己責任社会」を、「共生社会」に変えていくことが必要だと私は考えています。