国際プロジェクトである「世界価値観調査」では、「幸福を感じている男性の割合」から「幸福を感じている女性の割合」を引いた数値で幸福度の男女間格差を明らかにする「男女の幸福度国際比較」の調査(2010年~2014年)を行いました。
その結果ですが、日本はマイナス8.2%と、世界で最も幸福度の男女格差あり、男性が女性より幸福を感じていない国であることが明らかになりました。
社会的な活躍の場は女性よりも男性に多く用意されているはずなのに、幸せを感じる割合は男性のほうが低く、ねじれ現象が起きています。
我が国において、1980年、「男性雇用者と無職の妻からなる世帯」の数は1,114万世帯で、「共働き世帯」は、そのおよそ半分の614万世帯でした。それが、2019年には「男性雇用者と無職の妻からなる世帯」が582万世帯で、「共働き世帯」は、その倍以上の1,245万世帯となりました。
「共働き世帯」が増えた背景には、女性の大学進学率アップに伴う雇用形態の変化が大きく関わっていると推測されます。もともとの男性と女性の大学進学率にはおよそ3倍以上の差がありましたが、平成29年度の大学への進学率は、大きな差はありません。「男性同等にキャリアを積みたい」と考える女性が増えたことが推測されます。
また「共働き世帯」の増加は、バブル崩壊や国の税金制度の変化などが大きく影響し、世帯所得の減少を補うため、自然と共働きが増えていったと考えられます。
国立社会保障・人口問題研究所の、我が国の独身男女を対象とした「結婚相手の条件として考慮・重視する割合の推移」(2015年)によると、8項目の条件のうち、男性は、①「人柄」②「家事・育児の能力」③「仕事への理解」④「容姿」⑤「共通の趣味」⑥「職業」⑦「経済力」⑧「学歴」の順で、女性は、①「人柄」②「家事・育児の能力」③「経済力」④「仕事への理解」⑤「職業」⑥「容姿」⑦「共通の趣味」⑧「学歴」の順でした。
ここで注目すべきは、結婚相手の男性への条件として、かつて女性が中心となって担うものとされた「家事・育児の能力」や、女性が働くことを前提とした「仕事への理解」を求める女性の割合が多いということです。さらに、「経済力」は、女性が3位であるのに対し、男性は7位です。これは、共稼ぎ世帯が増えている現在において、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」というアンコンシャスバイアスな考え方が根強く残っているからではないでしょうか。
私は社会の変化に合わせ、男女が共に様々な意識を変え、社会的な責任を、応分に分かち合い、共に支え合う社会を目指すべきではないでしょうか。