性犯罪・性暴力は被害者の尊厳を踏みにじる悪質な犯罪です。被害者は、身体的にはもちろん、精神的にも大きなダメージを受けています。心に大きな傷を負い、その傷を一生引きずることから「魂の殺人」と呼ばれています。早期解決・回復のためには、すぐに警察に相談することが重要ですが、性犯罪の被害者は、羞恥心や恐怖心から、被害の届出をためらう場合が多いため、被害者の多くが泣き寝入りし、事件として顕在化するのは氷山の一角であるとも言われています。
また、性被害は緊急避妊や、体に付着した加害者の体液等の証拠の採取が犯罪の立件に必要となるため、産婦人科での診察、また警察や弁護士への連絡等が必要となります。しかしながら被害を受けた直後に、様々なところで被害の詳細を何度も語ることとなり、被害者は事件の記憶がよみがえり、「第二の性的被害」という苦痛も受けます。
被害者の気持ちに寄り添うには、産婦人科での診断や専門医のカウンセリング、警察での女性警察官による対応、弁護士への相談等を1カ所で迅速に相談できる「ワンストップ支援センター」が必要です。千葉県では2016年4月、「性暴力・性犯罪被害者に対するワンストップ支援のあり方検討会」を立ち上げ、5回の検討会議の後、NPO法人「千葉性暴力被害支援センター ちさと」に財政支援することを決定し、2017年10月からは「ちさと」や千葉県医師会、千葉県産科・婦人科医学会、千葉県弁護士会、千葉県警、千葉県男女共同参画課、千葉県女性サポートセンター、千葉県児童家庭課、千葉県くらし安全推進課等をメンバーとする「千葉県性犯罪・性暴力被害者支援協議会」が発足し、千葉県としてのワンストップ支援体制を構築するに至っています。
このようなワンストップ支援センターは現在、各都道府県に1〜2カ所ありますが、電話番号は各施設によって異なっており、またセンターの認知度も各施設様々ですので、いざというときに被害者が相談先に迷い、対応が遅れてしまうことが少なくなかったとのことです。
そのようなことから国は、性暴力の被害者が電話で相談しやすくするため、今年の10月までに全国共通短縮ダイヤルを導入する方針を固めました。新たに導入される共通短縮ダイヤルに電話すると、電波の発信場所を自動的に確認し、被害者のいる都道府県のセンターにつながる仕組みで、残念なことに当面は有料ですが、2022年度からは無料化も検討しているとのことです。
また24時間体制でワンストップ支援センターを運営しているのは20都府県だけですが、国は支援センターが休みの地域であっても、新たに導入される共通短縮ダイヤルに電話をしたならば、国のコールセンターに転送され、来年度中には確実に支援する体制をつくるそうです。まだ共通短縮ダイヤルの番号が何番になるか分かりませんが、分かり次第、「県政改革」誌面でも皆様にお知らせします。
私はこれまでに性犯罪・性暴力の被害者支援について、県議会で何度も取り上げ、また「千葉性暴力被害支援センター ちさと」の広報啓発に力を注いできました。これからもこの問題に積極的に関わっていきたいと考えています。
さて、兄野田よしひこの「かわら版」ですでにご承知かと存じますが、父が9月3日に死去致しました。裕福ではありませんでしたが、私は今は亡き父母の愛情に包まれた、幸せな家庭で育ちました。人々のさまざまな不幸を少しでも取り除く。人々が人生の中で、幸せと感じる機会を少しでも増やす。そのようなことに尽力するのが、亡き父母への恩返しになるのではと考えているところです。もし、あの世があるならば、いずれまた父母と会えるでしょう。その際に「お前、頑張ったな」と褒めてもらえるような人生を送りたいと思っています。
令和2年9月13日 野田たけひこ