教職員の仕事は、学校での教育や学習環境の変化、生徒との関係、親とのコミュニケーションなどに適応しようとして、こころや体にさまざまなストレスが生じます。
文部科学省の「令和3年度公立学校教職員の人事行政状況調査」によりますと、全国の教職員の精神疾患による病気休職者数は5,897人で、令和2年度の5,203人から694人増加し、過去最多となりました。そのうち、千葉県は、前年度の177人から6人増加の184人(政令市である千葉市を除く)という結果でした。
県も、この教職員の精神疾患を問題視して、令和3年度に「千葉県教育委員会メンタルヘルスプラン」を策定し、本県の教職員のメンタルヘルス対策に取り組んでいます。
しかしながら私は、このプランにある「疲労の蓄積や不調を訴える職員に対して、産業医・健康管理医による面接指導を実施し、必要に応じて外部医療機関等への受診を勧める。この際、本人に選択させることが望ましい」という一文に危惧を覚えます。
多くの教職員は、まじめで責任感が強く、理想や使命感を抱きながら働いています。そして、子どもたちのためになるのであれば、自らを犠牲にしてでも頑張ってしまい、精神的に限界に達して、そこではじめて精神科等で診察を受けるというのが実情です。
自然治癒力でも治るケガや風邪とは違い、放置してしまうと、適切な治療をしない限り多くの場合で症状が悪化していきます。早期発見・早期治療が大切です。
そのため、私は受診するかどうかを、教職員本人に選択させたならば、手遅れになる可能性が高いと考えています。そして、もっと早い段階で受診していたならば、文科省の調査にある病気休職者数を、もっと少なくすることができるのではないでしょうか。これを裏付けるものとして、東京都教育委員会の休職者に係る調査に「休職者の分3分の2が病気休暇に入る直前まで、精神科を受診していない」という調査結果があります。そして東京都も、いわゆる「手遅れ受診」を問題視しています。
千葉県の教職員は、すべて「ストレスチェック」を受けることになっていますが、私は、その結果や管理職等の要請にかかわらず、手遅れ受診とならないよう、初期の段階での受診を教職員に促すべだと考えます。
メンタルヘルス後進国である日本は、カウンセリングを受けた経験がある人はわずか6%です。52%もある欧米では、精神科を受診することは美容室で髪を切るのと同じような感覚だそうです。日本の教職員の手遅れ受診を防ぐためには、メンタルヘルスに対する理解を深める必要があります。
そこで私は、メンタルヘルス研修会、啓発資料の配布、相談窓口の周知等、様々な機会を通して、教職員のみならず、県民に広く、メンタルヘルスへの理解促進を図るべきと考えています。