教育格差の是正

 毎年、全国の都道府県議会、市町村議会では、教育現場の声を受けて「教育予算の拡充に関する意見書案」などを、ほぼ全会一致で決議し、国に提出してきましたが、財務省は財政難を理由に、教育現場が求めるものに、十分な予算を付けないということが繰り返されてきました。

 先月15日の読売新聞・朝刊に「困窮児童の学力支援」―小中1000校専任教員ら増員へ―という記事が載りました。要約しますと「文科省は2013年度に小6と中3を対象に実施した学力テストの際、児童生徒の保護者約4万人の所得や学歴などを併せて調査した。その結果、応用力を測る小6の算数Bでは、家庭の年収(税込み)が1500万円以上の児童の平均正解率は71.5%だったが、200万円未満の児童は45.7%にとどまるなど、低収入の家庭ほど学力が低い傾向が見られた」これは、家庭の収入や保護者の学歴が子どもの学力に大きな影響を与えているといえます。また「放課後を利用した学習支援や勉強の進み具合が遅いグループへの少人数指導など、学習環境の改善が格差の克服に繋がるとの分析結果も示した」その結果を踏まえ、文科省は「2015年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の成績が低かった全国の公立小中学校約1000校に、学習支援を行う専任教員やスクールカウンセラーを増員配置することを決めた。家庭の経済力による学力格差を解消するためで、来年度予算の概算要求に関連経費を盛り込む」というものです。文科省の概算要求に財務省が理解を示したことに、いささか驚きました。また、家庭の収入や保護者の学歴が子どもの学力に大きな影響を与えていることについては、多くの方が実感として理解していることですから、何を今更という感想を持ちました。

 家庭の経済力による学力格差を解消する予算に財務省が理解を示したのには、昨年度、経済的理由で子どもに義務教育を受けさせることが困難な保護者に対し、学用品費、医療費などを援助する「就学援助制度」を受けた児童生徒の割合は全国の児童生徒の2割以上です。また、6人に1人の子どもが貧困家庭(年間の可処分所得が一人当たり122万円以下)という現状に、ようやく危機感を持ったことによるものです。
 今年の第一回定例県議会・民進党の代表質問では、貧困の親から子への連鎖を断つには、「教育」は必要不可欠なものになるとの観点から、特にお金がかかる大学、短大、専門学校進学の際の奨学金についての元原稿は私が作成しました。5月27日から第二回定例県議会が始まります。今回も登壇の機会を頂きましたので、「教育格差の是正」についても取り上げる予定です。

平成28年5月8日      野田たけひこ