教育職員免許法の改正について

 10月16日に東京都葛飾区の学童施設で知的障がいを持つ小学生女児に対し、性的暴行を加えたとして、施設の元職員が逮捕されました。警察によれば、容疑者は昨年3月〜4月の間に計10数回、当時の勤務先だった施設と自宅で、女児に性的暴行を加えたり、わいせつな行為をしたりしたほか、その様子をスマートフォンで撮影していたとしています。そして被害にあった女児とは別の児童からも被害の訴えがあるため、警察は余罪があるものと捜査を進めているとのことです。
 性犯罪の加害者は未成年者や障がい者であれば、うまく騙せるだろう、被害を訴えることができないだろうと考えることから、未成年者や障がい者が性犯罪の被害にあうことが多いといわれています。海外の研究によれば、障がい者が性犯罪被害にあう割合は健常者の約3倍といわれており、また内閣府が2017〜18年に実施した若年層への性暴力の調査でも、被害者の約半数が何らかの障がいを持っていたとの報告があります。
残念なことに、未成年者や障がい者が性犯罪の被害にあった際に、いつ、どこで、どういう被害にあったのか明確に答えられないことがあり、その場合、被害者が13歳未満の小学生であっても、容疑者が「同意の上だった」と主張することで、不起訴になってしまうケースもあるとのことです。前記の葛飾区の事件でも、容疑者は「同意の上だった」と容疑を否認しているとのことです。
また2006年から性犯罪で服役している受刑者や保護観察を受けている者は、再犯を防ぐための「処遇プログラム」を受けることになっていますが、法務省が公表した「平成27年版犯罪白書」によれば、1年間に性犯罪で有罪が確定した前科2犯以上の86人のうち13人が、13歳未満に対する小児わいせつで、さらに、そのうちの11人は過去にも小児わいせつ事件を起こしていたことが分かりました。つまり8割以上が同じ犯罪を繰り返す「再犯者」だということです。今年9月、法務省から「性犯罪者処遇プログラム検討会報告書」が公表されましたが、これでも電車での痴漢のように行為が常習化している者や、子どもを狙うような者は、再犯率が変わらず、「処遇プログラム」の明確な効果がみられなかったとしています。
 葛飾区の事件のように、保育・教育現場に携わるものによる事件は後を立たず、千葉県においても10月14日に、児童・生徒に対するわいせつ行為や盗撮(6件)、飲酒運転(2件)等の不祥事で、学校職員8人が免職5件を含む計8件の懲戒処分の公表がありましたが、11月18日にも県内の公立中学校の男性教員が教え子の女子生徒とLINEや電話で連絡を取り、車の中やホテルでわいせつな行為をしたことにより、県教育委員会は男性教員を免職の懲戒処分にしたとの報道発表があったばかりです。
 現行の教育職員免許法では、懲戒免職処分を受けて教育職員免許が失効しても、処分から3年以上経過すれば免許の再取得が可能です。そのことについて、文科省は制限期間を5年に延長する規制強化を検討していますが、再犯率が8割以上であることを考えますと、わいせつ教員への免許の再交付はやめるべきではないでしょうか。
私は12月3日に、12月定例県議会における会派の代表質問で、教育職員免許法の改正についても取り上げる予定です。

令和2年11月23日      野田たけひこ