8月1日、2日の2日間、東日本大震災で多大な被害を受けた宮城県の復興状況について視察してきました。東日本大震災では、千葉県も津波、建物倒壊、液状化現象などが発生し、死者20名、行方不明者2名、負傷者253名の多くの被害を出しました。また、昨年度の県民への世論調査でも、回答者の35.5%の方々が「災害から県民を守る」ということを県政への要望の第1位として挙げていることや、熊本地震からまだ間もないこと、あるいは6月から茨城県南部を震源地とする群発地震が起きていることなどを考えますと、千葉県の防災体制を強化するために、宮城県の取り組みは大いに参考になります。
宮城県の地震対策は、今から38年前の昭和53年に発生した「宮城県沖地震」マグニチュード7.4を教訓として、マグニチュード8.0の地震を想定したものでしたが、5年前の3月11日に発生した「東日本大震災」はマグニチュード9.0、地震のエネルギーの違いは宮城県沖地震の約250倍と想定をはるかに上回るものでした。
またご承知の通り、地震の後に津波が来て、それにより多くの被害が出ました。宮城県では津波の最高水位を10メートルと想定していました。ところが東日本大震災での津波の最高水位は想定の3倍以上の30メートルを超える津波でした。
今、宮城県では津波からの被害を最小限に食い止める取り組みをしています。津波の襲来が想定される沿岸部に防潮堤、防災緑地、防災林を設けたり、道路を土でかさ上げするなど、波の侵入を防ぐ防御施設を幾重にも設ける事や、住居を内陸部の高台に建て、そこへの住民の集団移転を促す事をしています。ただ漁業を営んでいた方々などが内陸部に移り住むことは、働き場である海から離れることになりますので、移転の同意がなかなか得られないという状況もあるようです。
道路、鉄道、港湾、空港などのインフラ整備は、ほぼ5年前のレベルに達して「復旧」は力強く進んでいます。しかし「復興」するには「土木、建築、用地買収担当職員の不足」、「被災者の心のケア、子どもの心のケア」、「仮設住宅から恒久的住環境への移行支援」など、多くの課題が残されています。
「全国都道府県における災害時等の広域応援に関する協定」などに基づき、千葉県からも被災地に「救難」、「復旧」のために応援職員を派遣していますが、「復興」のために、全国知事会「東日本大震災復興協力本部」(本部長:上田埼玉県知事)のさらなる充実を計る必要があります。
平成28年8月7日 野田たけひこ