江戸(東京)などとの人や物資の往来に重要な役割を担った千葉街道(現在の国道14号線)は海岸沿いにつくられた街道で、かつては街道のすぐ近くまで波が寄せていたそうです。その海岸線は、昭和20年代末に京葉工業地帯造成が始まったことから、埋め立てられ、今の市街地が形成されることとなりました。
その海岸線の埋め立てに併せて、高波などの侵入を防ぐ護岸などの海岸保全施設は、昭和40年頃から整備されましたが、整備からすでに40年以上が経過したこともあり、老朽化による劣化が著しい状況です。また東日本大震災の発災時には、周辺地盤が液状化し、護岸も大きな損傷を受ける等の被害が発生しました。しかしながら、船橋市内の中心部を流れる海老川の水門や、流れ込む大量の水を処理するための排水機場、防潮堤などの海岸保全施設の多くが修復、耐震化されていません。
今後、高い確率での発生が予想されている千葉県北西部直下地震や南海トラフ地震などの巨大地震に伴う津波、また昨今被害が甚大化している台風に伴う高潮への対策の必要性が従来以上に高まっており、船橋市の内陸部への浸水を防ぐには海岸保全施設が、いざという時に的確に機能しなければなりません。
かつて海だったところを埋め立てて形成された市街地は、海抜より低い「ゼロメートル地帯」を多く抱えています。そのような中に大規模な災害発生時に災害対策本部が設置される市役所と、その際に最前線で活動することとなる消防職団員の司令塔になる中央消防署があります。また国道14号線は、千葉県から災害時に避難や救助、物資の供給などで大きな役割を担うこととなる「千葉県緊急輸送道路」に指定されています。裏表紙の航空写真をご参照頂ければ、なぜ早急に海岸保全施設の浸水対策、老朽化対策、耐震化対策等をしなければならないかお分かり頂けるでしょう。この地域が高波などの被害を受けると、船橋市のみならず、船橋市よりも南に位置する地域にお住いの方々の災害からの救難、復旧などにも甚大な影響を及ぼすことになります。
船橋市の海岸保全施設は県が所管するもので、これまで船橋市から、国や県に対し再三にわたり早急な浸水対策、老朽化対策、耐震化対策等を求めてきましたが、県の事業の速度が遅いという現状がありました。
そこで、私が2月26日に千葉県議会の本会議において登壇した際、この問題も取り上げ、県の早急な対応を求めました。県の答弁は「耐震化及び老朽化対策の進捗を図るため、必要な予算の確保と、早期の直轄事業化について、国への重点要望や港湾関係者で組織する千葉県港湾整備促進協議会を通じて、国へ働きかけて参ります」というものでした。
これからも、住民の命と財産を守るため災害に強い千葉県づくりを進めて参ります。
平成30年4月1日 野田たけひこ