今から9年前の豪雨と8年前の東日本大震災の際には、船橋市でも土砂災害がありました。当時、私は市議会議員でしたが、その頃から県の「土砂災害警戒対策事業」の遅れに強い危機感を抱いていました。市議会でも国、県、市に対して土砂災害への対策強化を求める質問もしました。県議会議員になっての初めての一般質問でも、この問題を取り上げ、県の土砂災害警戒対策事業の完成年度の一年前倒しや、事業に係る予算もほぼ倍増させる等の答弁を県から引き出しています。
10月31日、『災害対策 後手認める』『土砂警戒指定遅れ「知ってた」』という見出しで、前日の定例記者会見における森田知事のコメントが新聞報道されました。千葉県が土砂災害危険箇所を土砂災害警戒区域に指定した割合は、全国平均88%に対してわずか36%で全国最下位の数字です。市町村は、県が警戒区域指定をしないと警戒避難体制をつくれません。この現状について、知事は「私は以前から知っている。何んとかしていかなければいけないと思っていた。(被害が)現実のものとなった」とコメントしていますが、土砂災害への危機感の欠如したこのコメントには怒りを覚えます。
10月25日の豪雨による土砂災害で千葉県は4名の尊い命を失いました。この反省から知事も、ようやく土砂災害警戒対策事業における「基礎調査」や「区域指定」の遅れを本格的に改善していく考えを示しましたが、もっと早く着手できなかったのか、悔やまれてなりません。
また、2名の方が犠牲になった千葉市緑区誉田町の現場は、土砂災害危険箇所のリストに入っていませんでした。9年前の豪雨と8年前の東日本大震災の際に、土砂災害のあった船橋市内の箇所も同様にリストに入っていませんでした。私は、船橋市内の別の箇所を県と市に掛け合い、土砂災害警戒区域に指定し、区域住民への「災害情報伝達方法」の策定や「警戒避難体制」の構築に向けた話し合いをしているところです。
土砂災害危険箇所かどうかの選定は、地図上の等高線で調べるというやり方です。また土砂災害危険箇所のうち、「急傾斜地崩壊危険箇所」は基本的に「傾斜度30度以上、高さ5メートル以上」等の諸要件があります。しかし、今回の豪雨による土砂崩れの現場は、三カ所とも粘土質で、水分を含みやすい地形だったと国交省の調査で明らかになっています。私は、この土砂災害危険箇所の選定方法や諸要件の在り方についても12月議会で取り上げる所存です。
令和元年11月10日 野田たけひこ