23害廃棄物の処理は、復旧・復興の第一歩です。平成23年(2011年)の東日本大震災では、東日本の太平洋沿岸部を中心に、13道県239市町村において災害廃棄物約2千万トン、津波堆積物約1.100万トンが発生しました。そして岩手県、宮城県、福島県(避難区域を除く)等12道県、231市町村は、目標期日である3年後の平成26年3月末までに、この処理を終えました。
昨年、千葉県を襲った一連の災害でも、損壊した屋根の瓦、水に浸かった畳や家具、割れた窓ガラス、倒木等、膨大な量の災害廃棄物が発生しました。房総半島台風が千葉県に上陸したのは昨年の9月9日ですから、まもなく丸1年となりますが、それらの処理はいまだ終わっておらず、県は今年度中に終わらせるという目標を立てています。
災害直後の昨年10月、県は災害廃棄物の発生量を、東日本大震災時の約14万トンの2倍の約28万トンと想定しましたが、11月には、その数量を、さらに多い約39万トンに訂正し、その数値をもとに「令和元年第台風15号、第19号及び10月25日の大雨に係る千葉県災害廃棄物処理実行計画」を作り直しました。
災害廃棄物の集計は、処理した数量を現場からの報告を受け、それを積み上げていくという計算方式ですので、まだ最終値は出ていませんが、これまでに約7万4千トンを処理しました。まだ未処理の災害廃棄物があるものの、それを差し引いても、県の想定値の約39万トンより、はるかに少なくなるものと予想されています。災害廃棄物の発生量は、災害による被害の大きさに比例するものですから、県の想定値より処理する災害廃棄物の量が少ないというのは悪いことではありません。
しかしながら災害時における災害廃棄物に係る県の役割として、「千葉県災害廃棄物処理計画」では、産業廃棄物処理施設や一般廃棄物処理施設等の被害状況を把握し、被災市町村に情報提供を行うほか、災害廃棄物の発生量に関する情報や(災害廃棄物の)仮置場の充足状況、施設の被害状況について被災していない市町村へ情報提供を行い、必要に応じて支援要請を行うことと定められており、県の「令和元年第台風15号、第19号及び10月25日の大雨に係る千葉県災害廃棄物処理実行計画」における災害廃棄物の発生量の想定値と実際の数値に大きな開きがあるということは、「千葉県災害廃棄物処理計画」にある、災害廃棄物の発生量に関する情報を収集する際に、問題があったということになります。
また「千葉県災害廃棄物処理計画」では、「災害廃棄物処理を担う、県及び市町村等職員に対する教育・訓練の実施」「廃棄物行政経験者(退職者など)の確保」というように「人材の育成・確保 」を取り組みの柱にしています。災害廃棄物の処理実行計画は災害廃棄物の発生量に基づき、県職員がつくるものですから、職員の情報収集等の能力が試されるものです。
9月16日から9月定例県議会が始まります。9月議会では災害廃棄物処理を担う人材の育成・確保等についても取り上げる所存です。
令和2年 8月24日 野田たけひこ