災害時における障害者等の移動手段確保

 高齢者、要介護認定者、重度の障害者、難病患者などのうち「災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な方であって、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要する方」を避難行動要支援者と云います。
 2024年、今から6年後に我が国は、全国民の3人に1人が65歳以上となり、団塊の世代の方々が75歳以上の後期高齢者となる超高齢社会を迎えます。そうなれば自ずと避難行動要支援者の数は増えることになるでしょう。
 平成23年の東日本大震災において、被災地全体の死者数のうち65歳以上の高齢者の死者数は約6割で、障害者の死亡率は被災住民全体の死亡率の約2倍だったことを受け、国は「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」を策定しました。それにも 「避難行動要支援者を速やかに避難場所から避難所へ運送できるよう、あらかじめ運送事業者と避難行動要支援者の運送について協定を結び全体計画に規定することが適切である。発災後は、避難行動支援者の運送の責任者となった者が中心となってあらかじめ定めた全体計画に基づき、避難場所から避難行動要支援者を運送することが適切である」と運送事業者との協定の必要性が書かれています。
 そのようなことから、県でも今年の1月に千葉県個人タクシー協会と「災害時における緊急輸送等に関する協定」を締結しました。また私は、その協定の締結の前から福祉タクシー事業者団体と千葉県とが千葉県個人タクシー協会と同様の協定を結べないか、両者の間に入って話を進めてきました。しかしながら、福祉タクシー事業者団体は協定締結をしても良いとのことなのですが、残念ながら県にはその気がありません。
 船橋市は今年3月に千葉県タクシー協会・京葉支部と県と同様の協定を結び、4月に福祉タクシー事業者団体とも協定を結びました。災害の際に、できるだけ多くの避難行動要支援者の命を救い、その方々を迅速に避難所に移動させるには多くの方々の協力が必要ですが、二次災害の危険性もあり、災害発生直後に被災地に入って輸送業務にあたるというのは覚悟のいることです。それをご承知の上で、障害者等の避難行動要支援者の輸送に慣れている福祉タクシー事業者が協力する用意があるというのですから、県は協定を結ぶべきです。
 私は、福祉タクシー事業者団体と県との協定締結に向けて、今後とも尽力致します。

令和元年5月26日       野田たけひこ