熊本地震では当初、仮設トイレのし尿や生活ゴミ、大量に発生した廃棄物の収集、運搬、処理などの業務も支障が出ました。また前回の「県政市改革 災害時の行政手続き」にも書きましたが、「熊本地震の被災地では罹災証明書の申請件数が10万2千215件もあるのに対し、実際に発行できたのは3万226件で、申請件数の3割程度にしか発行できていないという報道がありました。特に益城町や南阿蘇村、西原村などの熊本県内の9市町村では約2万8千件の申請を受けましたが、各市町村の職員が余震への対応や避難所の運営などに追われ、証明書発行に係る現地調査ができなかったため、罹災証明書の発行数はゼロでした。被災者の生活再建を急がなければならないことから、国は5月中の発行を求めていましたが、他県から派遣された応援職員を市町村に割り振って対応しても、人手不足で残念ながら、その要請に応えられませんでした。
たとえ災害時であっても福祉の観点から、あるいは市民、県民生活上重要かつ停滞してはならない行政サービス、行政事務があります。そのようなことが起こらないように、千葉県は都道府県レベルで「全国都道府県における災害時等の広域応援に関する協定」「九都県市災害時相互応援等に関する協定」「関西広域連合と九都県市との災害時の相互応援に関する協定」また、関東地方知事会を組織する知事の協議による「災害時等の相互応援に関する協定」千葉県の市町村レベルでは「災害時における千葉県内市町村間の相互応援に関する基本協定」また、船橋市は全国の中核市同士、横須賀市や川口市等とも独自に協定を結んでいます。
それぞれの協定には、応援の種類も書かれており、食料や飲料水などは無論のこと、ゴミやし尿等の処理のための施設の提供など、様々なことを相互に応援しようとしています。それぞれの協定に明確には書かれていませんが、罹災証明書の発行事務なども、被災県の要請に応じて、他県などから応援職員が派遣されるものと解されます。熊本県ももちろん、熊本県内の市町村も、このような協定を多数結んでいますが、それでも応援職員の受け入れ体制ができず、先程書きましたように、当初は行政サービス、行政事務に混乱が生じました。
せっかく相互応援に関する協定があっても、それが実効性のあるものとならず、応援職員の受け入れ体制ができなければ意味がありません。応援に来た人たちを受け入れる拠点も充実させなければなりません。6月9日、本会議の登壇の際には、災害時の応援拠点が万全なのかについても取り上げたいと考えています。
平成28年6月5日 野田たけひこ