災害時の避難所のあり方について

 西日本豪雨災害では、今もって約2万3000人の方々に緊急度の高い避難指示が出たままで、約4300人の方々が、自治体が開設した避難所に避難しており、また避難指示区域内の自宅に戻り、二次災害の危険と隣り合わせの状態の方々も多数おられます。
西日本豪雨災害においては、避難後のストレスや体調悪化で死亡する「災害関連死」を防ごうと、被災地の避難所で段ボールベッドの活用が広がっています。段ボールベットの活用により、感染症等を軽減する効果も期待され、被災者からは「体の負担が減った」と好評だそうです。避難所生活が長期化すれば関連死のリスクが高まりますが、専門家よりますと「段ボールベッドを含め、避難環境の改善を進める必要がある」とのことです。
さて、義援金・救援金の募集や紛争、災害、病気等で苦しむ人を救うため様々な支援活動をしている「赤十字社」は、紛争や災害の際の避難所の環境水準を定めた国際基準「スフィア基準」を定めています。具体的には、人間の生命維持に必要な水の供給量、食糧の栄養価、トイレの設置基準や男女別の必要数、避難所の一人当りの最小面積、保健サービスの概要などの詳細が定められており、被災者すべてが平等かつ公平な支援を受けるためだけでなく、支援者側においても、援助の説明責任や品質維持のために役立てられています。その基準の一例として、

・1人あたりの居住スペースは最低3.5平方メートル・天井の高さ は2メートル以上(およそ2畳分で、寝返りをうったり、スペースを保ったりするために最低でもこのくらいは必要だとされています。)

・トイレは20人に1つ、男女比1対3の割合で設置(一般的にトイレにかかる時間が、
女性は男性の3倍の時間が必要になるからだということです。)

日本の避難所といえば、体育館に大人数で共同生活をして、床に直接布団を敷いて雑魚寝し、プライバシーもなく、お互いに音を立てないよう細心の注意を払う。汚くて臭いトイレに行くのが嫌で、水分を取るのを控えたり行くのを我慢したりして、脱水症状を引き起こしてしまう。など、いかがかとは思いますが「劣悪な難民キャンプと同じレベル」と言われることもあり、「スフィア基準」とは程遠い避難所の話をよく耳にします。
私は9月に開会される県議会において、会派を代表して本会議場に登壇する機会を頂きました。被災され困っておられる方々を「劣悪な環境」におかないよう「災害時の避難所のあり方について」も取り上げる所存です。

平成30年7月29日      野田たけひこ