9月30日、熊本県庁にて熊本県の「危機管理課防災企画監(危機管理監)」より熊本地震の貴重な教訓を伺う機会を得ました。
東日本大震災以降、都道府県や市町村では、自然災害をはじめとする様々な危機の際に、『災害対策本部長となる知事や市長への助言』『自衛隊などへの連絡・協力要請を円滑に行う』『防災・危機管理対策業務』『防災計画の作成や職員の行動マニュアルの作成』『県民、市民や職員に対する防災・危機管理意識向上のための教育・啓発』などを行う「危機管理監」という専門職を設け、主に災害対応の経験が豊富な自衛隊OBが特別職としてこの任にあたっています。ちなみに千葉県や船橋市でも東日本大震災以降自衛隊OBの危機管理監を配置しています。
その熊本県の危機管理監のお話によれば、国の支援物資の搬送がかなりずさんで災害現場は大混乱だったそうです。たとえば、国は「南海トラフ具体計画(南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画)」を地方の防災担当者に説明した際には、『物資は国が責任を持って市町村の拠点まで運搬する。』と約束していたにもかかわらず災害時には運搬業者任せで、支援物資が今どこにあるのかすら国の対策本部は答えられず、道路が寸断されているため運搬業者も立ち往生し、見かねた自衛隊がヘリにて搬送すると申し入れたところ、国は引き渡し人が市町村となっているとの理由で自衛隊が搬送することに難色を示したそうです。また、支援物資も水だけ4トン、ブルーシートだけ相当数など単品を大量に市町村の拠点に送るやり方で、拠点でも保管場所の確保や重い荷物の受け取りだけで負担を強いられ、被災地への物資搬送も遅れたそうです。このような苦い経験をさせたことを国は真摯に受け止めなければならないでしょう。
これを教訓に熊本県では、支援物資のあり方について食料、水、老若男女兼用下着、塩、アメニティセット等、当面必要となるものをリュックにパック詰でセットし、市町村の拠点ではなく直接避難所に届ける直接配送方式を国に提案しています。
熊本県庁では防災について多くの教訓を得ることができ、特に支援物資は高齢者・女性・子どもの目線に立って準備し、支援物資を集積する人、被災地に搬送する人の立場に立って考えなければいけないものであると強く感じました。
私は千葉県の防災体制整備向上のため、今後とも積極的に提言していく所存です。
平成29年9月10日 野田たけひこ