男女共同参画条例について

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視発言により、会長を辞任することとなり、その後任には橋本聖子五輪担当大臣が就任し、新たな五輪担当大臣には、菅総理の任命により丸川珠代参議院議員が就任しました。また丸川氏は男女共同参画担当大臣も併任することとなっています。
 オリンピック憲章に「男女平等の原則を実行するための観点から、あらゆるレベルと組織においてスポーツにおける女性の地位向上を奨励、支援すること」はIOC(国際オリンピック委員会)の使命と役割であると明確に規定されています。そのことと、丸川氏が結婚後も夫婦別姓でそれぞれの婚姻前の姓を名乗ることを法律でも認めようという選択的夫婦別姓制度の導入に反対しており、今年の1月にも自民党の国会議員有志とともに、選択的夫婦別姓制度の実現を求める意見書が地方議会で発議されたならば、その採択を阻止するように求める文書を、自民党系の都道府県議会議長・約40人に送付していたことが明らかになり、そのようなことから、丸川氏が五輪担当大臣や男女共同参画担当大臣に相応しいかどうかが、国会でも議論されました。
 さて千葉県の男女共同参画についてですが、1999年に男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現を目指すという「男女共同参画社会基本法」が国において成立したのを受け、全国の都道府県でも「男女共同参画条例」が制定されました。千葉県でも、2002年の9月県議会で「千葉県男女共同参画の促進に関する条例案」が審議されたものの、議会で圧倒的多数を占める自民党が難色を示し、廃案となりました。私たちは、その後も、幾度となく県議会で条例化に向けた提案をしてきましたが、前知事も県の行政も、自民党への「忖度」(そんたく)からでしょうか、条例化に動くことは一度もありませんでした。47都道府県で男女共同参画条例が制定されていないのは千葉県だけです。
 2013年、国は成長戦略のひとつとして「女性活躍推進」を掲げ、その2年後には女性が働きやすい環境づくりを企業に求める女性活躍推進法も成立し、一昨年までの7年間で女性の雇用は340万人増加しました。しかしながら、その7割は不安定な非正規雇用でした。そのような状況に新型コロナが直撃しました。昨年、緊急事態宣言が出された直後に全国で仕事を失った男性は32万人であったのに対し、女性は倍以上の74万人でした。また自殺者の数も昨年10月は一昨年の同月に比べ男性が21.7%増、女性が82.8%増と、自ら命を絶つ女性が増えました。
世の中の半分は女性であり、また誰しもが母という女性から生まれました。母や妻などの身近な女性が世の中で正当に評価され、処遇されるのが真っ当な社会でしょう。そして、そのような社会を築くことを理念化したのが男女共同参画条例です。私は、コロナ禍で多くの女性が苦しんでいる今、あらためて男女共同参画社会の実現に尽力する所存です。

令和3年3月28日       野田たけひこ