男女共同参画社会の実現に向けて

 内閣府では数年に一度、不定期の形で「男女共同参画社会に関する世論調査」を行っています。2019年9月に行われた調査によると、「社会通念・慣習・しきたりなど」の観点で、全体では70.1%の人が男性優遇派で、「平等」は22.6%、女性優遇派は2.3%に過ぎない結果となりました。ジェンダー格差や性差別もなかなかなくならない原因に、昔からの「社会通念・慣習・しきたり」による『心のしくみ』の影響が大きいと思います。『男性も女性も、自分の中に差別や偏見を生み出す心のしくみが働いていないか認識しながらジェンダー格差や性差別について学ぶべきである』これが男女共同参画社会に係る私の基本姿勢です。
コロナの拡大は、初期においてはいわゆる「女性不況」が確認され、既に存在していた固定的な性別役割分担意識等に基づく問題がここに加わり、男女間の格差が拡大していく可能性があります。しかし、コロナを契機に、仕事ではオンラインの活用が急速に拡大し、男女ともに新しい働き方の可能性が広がっていくことが期待され、テレワーク・在宅勤務の普及は柔軟な働き方の推進、 男性の家事・育児等への参画を促す好機でもあります。
 しかしながら一方では、コロナ下の生活不安やストレス、外出自粛による在宅時間の増加等 によりDV相談件数が増加しており、女性に対する暴力の増加が深刻化されています。内閣府は今年5月21日、令和2年度のDV相談件数の速報値が19万30件で、過去最多となったと明らかにしました。これは前年度(令和元年)の1.6倍に急増したことになります。政府は昨年の緊急事態宣言の発令に合わせ、相談体制を拡充してきましたが、全国の配偶者暴力相談支援センターと、昨年4月から始めたインターネットや電話などで24時間相談を受け付ける「DV相談プラス」に寄せられた件数を集計したところ、月別では今年3月が1万7320件と最も多かったとしています。
また、令和2年7月から9月期のシングルマザーの失業率が大幅に増加しており、子供のいる有配偶者と比べて、シングルマザーの失業率が令和2年9月には3ポイント高い結果でした。さらに、妊娠に関する相談窓口には、コロナ下における経済的困窮と失業により妊娠を継続することへの葛藤や養育不安が寄せられ、妊娠の確認のための産科受診費用が払えず、受診の遅れにつながった事例も報告されています。
多くの女性が苦境に立たされている現状を多くの人に認識して頂き、男女共同参画社会の実現へ向けて尽力することが、私の務めです。本年4月からは「第5次男女共同参画計画」がスタートしています。12月県議会では男女共同参画に係る県の施策の充実を、県に働きかける所存です。

 尚、DV、配偶者暴力相談については、電話番号「♯8008」(ハレレバ)お電話下されば、最寄りの相談機関の窓口につながり、直接ご相談頂くことができます。

令和3年11月21日      野田たけひこ