地震学会では首都直下型・南海トラフなどの大地震がいつおきてもおかしくないといわれています。また、集中豪雨や台風による水害なども増えてきています。新型コロナウイルスの第二波が懸念される中、災害が発生し、避難しなければならなくなったならば、現状の避難所では、いわゆる「三密」状態となり、感染拡大となるおそれがあります。
千葉県内の市町村は新型コロナウイルスが避難所で感染拡大しないようにするための避難所運営マニュアルを作成することになっています。そして県は市町村がマニュアル作成の参考にするようにと、「災害時における避難所運営の手引き〜新型コロナウイルス感染症への対応編〜」を作成しました。
この県が作成した手引きには「家族ごとに2m程度の間隔を確保できるようレイアウトや収容可能な人数について検討し、必要に応じて、パーティションやテントを活用できるよう準備を進める」とされ、その間隔を保つためのパーティションや床に付着したウイルスからの感染を防ぐための段ボールベッドを市町村に勧めています。そして、その段ボールは今年の3月に県と東日本段ボール工業組合とで取り交わされた「災害時における段ボール製品の調達に関する協定」により、災害時でも迅速に調達できることになっています。
県の手引きではパーティション、テント、段ボールベッドや、感染症対策用のマスク、アルコール消毒液、体温計等を市町村は事前に準備しておくことが望ましいとしています。それらを準備するにあたり、市町村は県の「地域防災力向上総合支援補助金」を充てることもできます。(防災担当職員が不足する市町村は、避難所運営マニュアルの作成を防災の専門家に委託することも可)。
日本では関東大震災から今に至るまで、雑魚寝で過ごす避難所生活が100年近く続いています。県の手引きの通りに市町村が避難所運営をすることとなったならば、避難所等における生活の肉体的・精神的疲労による「災害関連死」も少なくすることができるでしょう。
海外の避難所では簡易ベッドの使用が進んでおり、「一人当たり3.5平方メートルの空間」「トイレは20人に1基、男女比1対3で設置」等、災害時でも人道的に過ごすための国際基準「スフィア基準」が取り入れられています。
私は昨年、千葉県に甚大な被害をもたらした一連の災害のずっと以前から、このスフィア基準を念頭にした避難所の環境改善を議会で訴えてきました。これからも「県民の命を守る」ために新型コロナウイルス感染拡大阻止と、また避難所の環境改善についても引き続き取り組んでいく所存です。
令和2年6月21日 野田たけひこ