地方公務員法が一部改正され、令和5年度から地方公務員の定年60歳が2年に1歳ずつ段階的に引き上げられ、令和13年度に65歳となります。在職期間が長くなれば、その間に孫を持つ地方公務員も増えるものと予想されます。そのため宮城県では、育児休暇の対象を従来の父母から、孫のいる県職員にまで対象を広げることを検討してきました。
そして、宮城県の村井嘉浩知事は10月3日の知事定例記者会見において、県職員が孫の育児をするための特別休暇制度を来年1月から導入する方針を明らかにしました。村井知事は「夫婦の共働き世帯が増える中、祖父母が育児を支援する必要がある」と、制度導入の意義について語っています。
地方公務員を対象とした「祖父母の育児休暇」導入は都道府県では、宮城県が初めてのことになりますが、福井県は平成27年(2015年)に「育休等取得促進奨励金制度」を導入し、未就学の孫のために、10日以上の休暇を取得すると、企業に10万円の奨励金を支給しています。また、岡山県は平成28年(2016年)に「孫育て休暇奨励金」を導入し、孫育て休暇を制度化し、社員が1日以上休暇を取得した企業に対し、5万円の奨励金を支給しています。
民間でも東邦銀行が、未消化の有給休暇を最大120日分積み立てて、孫の育児のための休暇として利用できる「イクまご休暇」制度を導入しています。第一生命も、孫の誕生時に最大9日までの連続休暇を取得できる「孫誕生休暇」を導入しています。
現在、約6割が共稼ぎ世帯です。夫婦でスケジュールを調整しながら子育てを行ったとしても、保育所や保育士の不足や、仕事の都合をつけるのが難しかったりと、祖父母に手助けを求めることは多くあると思います。祖父母が子育てに駆けつけてくれたならば、これほど心強いものはないでしょう。
しかしながら、定年延長は世の中の流れであり、祖父母が現役で仕事を続けるというケースが多くなると予想されていますので、祖父母が子育てに駆けつけることができるようにする環境整備が必要です。その一つが、祖父母の育児休暇です。このような制度が社会に整備されたならば、2人目以降の出産前後などにも、1人目の子どもの面倒を安心して祖父母に頼ることができるのではないでしょうか。また、祖父母の育児休暇は祖父母も有給休暇で可愛い孫と接することができる、とても温かみのある良い制度です。
私は、祖父母の育児休暇制度を千葉県でも導入し、さらに県内の企業にも広めていく所存です。