オストメイトとは、病気や事故により消化器や尿管が損なわれたため、手術でお腹などに便や尿を排泄するための出口となる、ストーマ(人口肛門・人口膀胱)などの特別な装具を装着した方々です。オストメイトは一生涯自分の意志による排便・排尿の調節は不可能であり、排便・排尿の処置はパウチ(蓄便袋・蓄尿袋)によって行わなければならない、という辛い立場に追いこまれます。新たな戸惑い、羞恥心、無力感、嫌悪感、手術を受けたことへの後悔などが加わり、心理的な危機的状態に陥ることも少なくないそうです。
そして、このストーマ装具等は、市町村が主導する日常生活用具給付等事業によって、補助されることとなっていますが、厚労省のこの事業に係る実態調査によりますと、8割以上のオストメイトが、現在の給付基準額では少ないと回答しています。
オストメイトの団体である、日本オストミー協会は事業の実施主体である市町村に、長年にわたり給付基準額の見直しを求めていますが、残念ながら県内の多くの市町村は、その切実な要望に応えていません。
そのため、県内の市町村においても、給付基準額の見直しをした市町村と、そうでない市町村とで福祉サービスにおける地域格差が生じています。一般的に、ストーマ装具等への給付基準額は、尿路系11,640円、消化器系8,860円ですが、船橋市は尿路系13,000円、A市が10,500円で2,500円の開き、消化器系でも船橋市が10,000円、A市が8,000円で2,000円の開きがあります。
また、給付基準額のみならず、給付対象となるストーマ装具や利用者の負担割合、給付期間、給付対象者の範囲も、この事業の運営主体である市町村でバラバラに運営されています。それにもかかわらず、県はその実態に係る調査すらしたことがありません。
給付基準となっているストーマ装具以外にも、便や尿もれ、臭いなどが気になり、絆創膏、皮膚保護剤、消毒類、ティッシュ類、予備の下着類が必需品となり、これらはすべて私費となります。現在、諸物価が高騰し、そのためストーマ装具等も値上げされました。そのため、高齢のオストメイトの中には、ストーマ装具に係る費用を節約するために、装具の交換回数を少なくし、皮膚がただれるのを我慢しているという窮状も報告されるに到っています。
大腸がんは日本人のがんの死亡数の第2位、女性では1位で、患数は増加傾向にあり、その数はまだまだ増えるとも言われています。死ぬまでパウチの装着による排泄処理というハンディを背負いながらも精一杯生き抜いているオストメイトの方々が幸せな人生を送れるよう後押しをしなければならないと思います。
13日から始まった6月定例県議会の代表質問において、私はオストメイトへの日常生活用具給付等事業を取り上げたいと考えています。県に福祉サービスにおける地域格差の実態把握に努め、広域行政を担うという責務を全うし、格差解消に努めるよう求める所存です。