国が人口統計で用いる用語に「50歳時未婚率」というものがあります。これは2017年頃までは「生涯未婚率」と呼ばれ、総人口に占める、50歳になった時点で一度も結婚したことのない人の割合を示す言葉です。
もちろん50歳を超えて初めて結婚するという方もおられますが、その割合は0・1%程度であること等から、国は統計学上、50歳時に未婚であることは、ほぼ生涯未婚であると捉えています。
昨年11月に、2020年に実施された国勢調査が発表され、50歳時未婚率は、男性25.7%、女性16.4%であることが明らかになりました。これは男性の4人に1人、女性の6人に1人が生涯未婚だということで、この50歳時未婚率は国勢調査が始まって以来、過去最高数値を記録しました。そして、この生涯未婚という流れは今後も続き、2040年には男性の30%、ほぼ3人に1人、女性の20%、5人に1人が生涯未婚になると推計されています。
なぜ生涯未婚という人が増えているのでしょうか。2010年に国立社会保障・人口問題研究所が、全国の年齢18歳以上50歳未満の独身者を対象とした「結婚と出産に関する全国調査」を実施しましたが、それによれば、いずれは結婚しようと考える未婚者の割合は男性86.3%、女性89.4%で、男女ともに結婚願望は高く、未婚を望んでいるわけではないことが分かっています。つまりは、男女ともに「良き伴侶に巡り会えない」でいるということです。
国勢調査が始まった1920年から70年後の1990年まで日本の50歳時未婚率は一貫して5%以下で推移しており、ほとんどの男女が結婚しています。
そして、その時代と現在とで結婚をめぐる環境に、どのような変化があったのでしょうか。その一つに「見合い結婚の減少」が挙げられます。1940年代、結婚全体に占める見合い結婚は69.0%、恋愛結婚は13.4%でしたが、2010年台に入ると、恋愛結婚が87.7%で見合い結婚はわずか5.5%に減少し、見合い結婚の減少に反比例するかのように、50歳時未婚率は増加しています。また、かつては結婚することが当たり前という典型的なライフコースがありましたが、現在は価値観が多様化し、生き方が様々になっていることも未婚率の増加の要因だと考えられます。
言うまでもなく、結婚は個人の自由であり、LGBTQの方々に理解を示し、その方々の人権を尊重する社会でなければなりません。しかしながら、私は良き伴侶に巡り会い、幸せな家庭を築きたいと願っている人たちへも、社会が手を差し伸べていく必要があると考えています。
関東一都六県で、出会いの場を提供する等、結婚サポート事業がないのは千葉県だけです。私は9月に開会される県議会において、千葉県でも若年時から人生についての理解を深め、結婚・家族づくりを学べる『ライフデザイン講座』等を含め、結婚サポート事業を立ち上げるよう働きかける所存です。