阪神淡路大震災の発災から21年、東日本大震災からは5年、熊本地震からはまだ1ヶ月が過ぎたばかりです。千葉県では毎年、県民への世論調査を行い、その中で県政への要望も伺っていますが、ここ数年一番多くの要望が寄せられるのは「災害から県民を守る」ということです。昨年度の調査でも回答者の35.5%の方々が、この「災害から県民を守る」ということを県政への要望、特に力を入れてほしいこととして答え、やはり要望の第1位でした。
そこで着目しなければならないことは、阪神淡路大震災で亡くなられた方、約6千人のうちの80%から85%の約5千人の方々は、家やビルの下敷きになる「圧死」で亡くなられています。東日本大震災は津波が原因でお亡くなりになられた方が大多数ですが、やはり死因の第2位は圧死です。そして熊本地震の死因の約70%も圧死です。
圧死を防ぐには建物の耐震性を強化しなければなりません。そこで国は福井地震、十勝沖地震、宮城県沖地震、阪神淡路大震災などを受け、「建築基準法」をその都度改正し、建物が地震で倒壊しないように耐震基準を強化してきました。また、国や都道府県・市町村はそれぞれに建物の耐震改修を促すための補助金、助成金制度をつくり、建物の耐震化を積極的に進めてきました。それはもちろん今後も進めなければなりません。ただ建築基準法の耐震基準は一度の大きな地震を想定したもので、大きな地震が連続することを想定していないなどの問題もあるため、私は「災害から県民を守る」には、耐震改修と平行して「耐震シェルター」の設置も促進すべきだと考えています。
耐震シェルターとは「居住室の内部を鉄骨などで補強し、地震で建物が倒壊しても安全な空間を確保する」というもので、耐荷重も10トンから100トン以上のもの、価格も20万円台から数百万円台まで様々なものがあります。そして和歌山県では、この耐震シェルターや耐震ベッド設置に金額の上限はあるものの、県から助成金が給付されます。東京都の「耐震ポータルサイト」には、都が安価で信頼できると選定した耐震シェルター、9種類の耐荷重や価格、特徴などが記され、耐震シェルター設置の助成制度のある区市町の制度概要なども紹介されています。千葉県でも千葉市、佐倉市では耐震シェルター設置の助成制度があります。私は千葉県で耐震シェルターの設置への補助金、助成金制度を提唱していきます。
平成28年5月22日 野田たけひこ