船橋産の海苔(のり)について

 平成25年の海苔の都道府県別生産ランキングですが、ダントツ1位は「有明海苔」で有名な佐賀県。ベスト10内のほとんどが関西勢ですが、関東では唯一、千葉県が9位と健闘しています。

 かつて、口やかましい江戸っ子の舌を満足させていたのは江戸前(東京湾)の「浅草海苔」でしたが、今は東京で海苔は生産していませんので、伝統の浅草海苔の流れをくむ江戸前の海苔といえば、千葉県産の海苔です。千葉県の海苔の生産地は、富津地区、木更津地区と「三番瀬」に面した船橋市、市川市、浦安市などですが、千葉県の海苔は例年、日本一の高級品質として市場に出荷されています。

 船橋産の「船橋三番瀬海苔」は、磯の香りが強く、甘みと味わいが深く、食感も良いことが特色で、これは船橋の漁場で自生する海苔種だけを使っていること、三番瀬に流れ込む海老川などの複数の河川が地層の養分を運んで、海水中に海苔が必要とする栄養が豊富に含まれるためです。また遠浅の海でしかできない「竹ひび式」という養殖方法により、潮が引いた時に海苔が日光にじゅうぶんあたるので、色つやよく、甘みを引き出すアミノ酸も多くなり、旨味のあるおいしい海苔が育つといわれています。そして船橋産の海苔は「一般財団法人食品産業センター」から「本場の本物」ブランドに認定され、昨年のミラノ博覧会にも出店されました。また船橋市では、船橋ならではの優れた産品を認定するため、関係機関と協力し、「船橋産品ブランド協議会」を立ち上げ、平成24年度から認定を行うなど、その販売に力を入れています。

 ところが昨年から千葉県は、例年にないノリ漁の不作にあえいでいます。千葉県水産総合研究センターによりますと、不作の原因はリンや窒素などの海水の栄養分ではなく、気象と連動した海水温の高さであると分析しています。そして今、地球温暖化、アオサ(大型の藻類)の異常繁茂などにより東京湾での海苔の生産量は年々落ち込み、海苔の色落ちなど、品質の維持にも苦慮しています。

 またTPPの大筋合意で、干し海苔、海苔の佃煮などの海苔調製品、無糖海苔などの関税が即時15%削減されることになり、この影響についても考えなければなりません。
 千葉県の、船橋の特産品である海苔の生産・販売を促進するには、行政の後押しが必要です。