能登半島地震の発災直後に、千葉県は救助隊、支援隊を派遣するなど、迅速な対応をしました。その報告会、「能登半島地震派遣職員報告会」が2月14日に県庁で開催さることになっておりますが、すでに県職員からは、避難所となった体育館等の寒さは厳しく、床からの底冷えのため、夜も満足に寝ることができず、それがために疲労が蓄積し、体調を崩した方もいたという話も聞いています。
現在、全国各地から冷たい床に直接布団を敷かなくても済むように、段ボールベットやマット、毛布や使い捨てカイロ、石油ストーブ等が被災地に送られ、避難所の寒さ対策は強化されています。
能登半島地震における避難所の寒さ対策を教訓に、今、多くの自治体が避難所の防寒に役立つ備蓄物の数を見直し、また避難所が寒さに強い構造であるか、立地であるか等の検討を進めています。
さて、人間にとって「食べる」「排泄する」は基本的なことです。輪島市、珠洲市では発災以降、ほぼ全域でまだ断水が続いています。断水になると避難所の水洗トイレが使えなくなり、衛生状態が悪化します。東日本大震災において、避難所に仮設トイレが届いた日数は、3日以内と回答した自治体はわずか34%で、最も日数を要した自治体は65日だったそうです。仮設トイレは汲み取りが必要となりしますので、バキュームカーが不足すると使用できなくなります。そして、不衛生なトイレは使いたくないと、水分や食事の摂取を控えてしまう傾向となり、感染症にかかりやすくなり、さらに脱水症状、エコノミー症候群と災害関連死につながってしまいます。
私は、これまで人間の生命維持に必要な水の供給量、食糧の栄養価、トイレの設置基準や男女別の必要数、避難所の一人当りの最小面積、保健サービスの概要などの詳細が定められており、国際基準である「スフィア基準」をもとに、避難所運営はなされるべきだと、様々な機会を通して訴えてきました。
私は今後、30年以内に約70%の確率で発生する可能性があるとされている「首都直下地震」や「南海トラフ地震」に備えて県内54市町村の避難所において、防寒に役立つ備蓄物を増やし、また下水道管路にあるマンホールの上に簡易な便座やパネルを設け、災害時において迅速にトイレ機能を確保する、水洗の「マンホールトイレ」の普及と、災害に強い水道管や下水道管、そして、通信手段の準備、ヘリポートの整備など、孤立を前提とした対策を働きかけていく所存です。
一般的に災害時の助けとなる割合は、自分自身や家族の命と財産を守る「自助」=70%、近隣の皆さんと協力して地域を守る「共助」=20%、公的な支援の「公助」=10%といわれています。皆さま一人ひとりの備えと、地域が一体となり防災を進めていくことも重要です。