「障がい者は地域で生まれ、地域で育つ。地域の人たちは、自分たちができる範囲で障がい者の生活を支える。そういう人たちが多く住む地域は、誰にとっても住みやすいところとなる。そういう地域が増えれば、日本が変わる。こういう国づくりがあってよい」これは浅野史郎さんの言葉です。彼はこのような考えの下、宮城県政を担い、知事を務められたそうです。
人は長い人生の中で、病や怪我に見舞われ、時に障がいを抱えなければならなくなる時もあります。それでなくとも人は歳を重ねると体が衰えます。そして、誰しもがいずれは医療、介護、福祉等のサービスを受けることになります。今、我が国は超高齢社会を本格的に迎えようとしていますが、高齢者人口の増大は障がい者人口の増大と密接な関係にあります。つまり、障がい者施策の充実は喫緊の課題であると言えます。
国においても、「障害者自立支援法」「障害者虐待防止法」「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」、また差別の禁止を基本原則とすることを、新たに規定した「障害者基本法」の改正等、人と人とが支え合い共に生きるという「共生社会」実現のための法整備がなされています。
また、千葉県には「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」があり、それに基づき「障害のある人の相談に関する調整委員会」と障害者差別解消法第17条に基づき、「千葉県障害者差別解消支援地域協議会」を立ち上げました。これらの法律や条例の理念が理解されているか、また法律や条例そのものが守られているか等の視点から、市町村へ助言を行い、障がい者への相談対応等も行っています。委員会の委員は、障がいのある人、県議会議員、専門的知識を有する者(定員20名)で構成されており、県議会議員は3名選出されますが、私はその一員です。
11月8日に、この委員会と協議会が開催されました。その会議の中では、障がい者が日常生活を送る上での様々な課題が話し合われ、私からは公共施設や商業施設にある「障害者等用駐車場」が適正に利用されていない現状を改善するため、利用できる対象者(障がい者等)に利用証を交付する「パーキングパーミット制度」の導入を検討すべきことや、災害時における障がい者の死亡率は、被災住民全体の死亡率の約2倍であり、県内54市町村のうち32市町村で障がい者等の避難行動要支援者の避難に係る個別計画(災害時に誰が、どのようにして避難の支援をするかという計画)が策定されていない現状を早急に改善すべきこと等を提言しました。
私はこの協議会と委員会のみならず、あらゆる機会を通して、浅野史郎さんのように、「障がい者にとって住みやすい地域は、誰にとっても住みやすい地域となる」という考えの下、障がい者はもちろん、様々な立場の県民にとっても住みやすい「誰もが住みやすい千葉県」をつくるため、提言していく所存です。
令和元年11月17日 野田たけひこ