公正取引委員会の排除措置命令書にも「長時間にわたって、繰り返し、かつ組織的に入札談合を行っていた、極めて悪質な不法行為」という記述がある千葉県山武地域の建設会社多数による談合事件。本来ならば、違反事業者は県と取り交わした契約約款に基づき最終契約金額の20%に当たる約11億円を県へ賠償金として支払わねばなりません。しかし、業者が加盟する千葉県建設業協会は、県に損害賠償請求の軽減を求めて、千葉簡易裁判所に民事調停を申し立て、このたび調停案が成立しました。その内容は最終契約金額の20%の約11億円ではなく、8%に相当する3億8千8百98万円を10年間の分割払い。現在開会中の県議会に付議されている議案第24号は、これを承認しろというものです。
私たち民進党は談合防止のため、談合が行われた場合は最終契約金額の20%の賠償金が請求できるという規定が、有名無実化することを危惧しています。そもそも違反事業者は賠償金を支払えないのか。今月1日の民進党の代表質問において、違反事業者の支払い能力を副知事に尋ねたところ「いずれの会社も20%の賠償金の支払いが可能」の見解が、県側の公認会計士から示されていたとの答弁もありました。
ちなみに、違反事業者が加盟する千葉県建設業協会と、ほぼ同じメンバー構成で自民党千葉県建設支部が組織されています。また千葉県建設業協会の専務理事と自民党千葉県建設支部の会計責任者は同一人物で、元千葉県企業庁次長。つまり元県職員で、いわゆる「天下り」です。
さらには、千葉県建設業協会の役員でもある、違反事業者の幹部から自民党の県選出国会議員へ平成26年3月に500万円、自民党県議会建設問題研究議員連盟所属の自民党県議へ同年7月に100万円、自民党千葉県建設支部から自民党県連へ同年1月に100万円、同年5月に200万円の寄付がなされています。これは、まさに政・官・業の癒着そのものです。
このようなことは、市町村レベルでも頻繁に噂になっています。例えば、なぜか特定の事業者ばかりが公共工事を受注する。常に予定価格の90%以上で落札される。一般の工事に比べ、公共工事は割高である等、公共工事の入札には透明性が求められますが、透明性の確保の大きな障害となっているものに、自民党の政治家と行政、業界との癒着が挙げられます。政・官・業の癒着を断ち、透明性を確保しなければなりません。また、議案第24号が採択されると、今後同様なことが起こった際に、前例踏襲の事態にならないとも限りません。私たちは議案第24号に反対します。
皆様、12月20日の県議会・本会議場における議案第24号の採決にご注目下さい。
平成28年12月11日 野田たけひこ