道路・交通問題について

 昨年の「船橋市市民意識調査」の市民要望の第1位は例年同様に「交通渋滞の緩和や歩行者・自転車利用者の安全に配慮した幹線道路、生活道路の整備」で、この調査の回答者の48.0%の人が、船橋市の道路・交通問題の改善を求めています。

 この問題については、国交省等が研究している「高度道路交通システム(ITS)」が普及することによって、大きく改善されるものと思われます。高度道路交通システムとは、「人」「道路」「車」を一体のシステムとして構築することで、事故や渋滞、環境問題など、交通が抱える様々な課題を解決し、わたしたちの暮らしをよりよいものにしてくれるシステムです。身近にあるITSには、渋滞情報や交通規制などの情報を元に最適なルートを案内してくれる「カーナビ」や高速道路や有料道路などの料金所で、ノンストップで料金を自動で支払う「ETC」などがあります。

 また、2000年頃から「若者の車離れ」が進んでいると言われています。これは日本のみならず、米国や欧州でも同じ傾向だとのことですが、国交省によれば、若者の車離れの要因として、若者の個人消費が大きく低迷している中、車の安全装置の標準化等により車両価格が上がったため、買いたくても買えないという「経済的理由」。スマホやパソコン、ゲーム機等、車以外の「趣味の多様化」。車が生活に不可欠の地方は過疎化が進み、都市部に人口が集中したが、都市部は駐車場の維持に多大なコストが掛かる反面、公共交通網が発達し、車の必要性を感じないという「居住環境」。また若者の「環境意識の高まり」等が挙げられるとしています。

 「千葉県勢要覧」によれば車の総数は、平成12(2000)年に254万1千500台だったものが、昨年には242万5千846台と11万5千154台の減少となり、そのうち自家用車等の乗用自動車は平成12年が204万2千972台だったものが、昨年には196万4千148台と7万8千824台の減少となっています。そして、少子化による人口減少、カーシェアリングの進展等により、この車の台数の減少傾向は、今後益々拍車がかかると思われます。

 高度道路交通システム(ITS)や車の自動運転等が普及し、車の台数も減るならば、船橋市の交通渋滞も緩和され、それと同時に幹線道路、生活道路の整備等も根本から見直しをしていくことになると思われます。

 かつて、竹下登首相は「道路イズ政治、政治イズ道路」と語りましたが、図らずも、この言葉は道路整備による経済効果のみならず、道路族議員の忖度による利益誘導等、自民党の古い体質を匂わす言葉となりました。道路は言うまでもなく、その整備には多額の税金が投じられ、整備に係る債務や維持管理に係る経費は、その道路を必要としない人や次世代も背負うことになるので、将来を見据えて、慎重に計画しなければなりません。