6月3日、台風2号の接近に伴う暴風と大雨により、千葉県内の多くの市町村で、警戒レベル4の避難指示が発せられました。また、5月26日にも千葉県東方沖を震源とする、最大震度5弱の地震が発生する等、最近は地震が頻発しています。
毎年実施されている「県民意識調査」における、県民の県政への要望も、今年も含め、ここ数10年間、常に「災害に強い千葉県づくり」が第1位です。今年はさらに、「関東大震災から100年」でもあることから、県民の防災への関心は非常に高まっています。
平成23年の東日本大震災の死者数のうち、60代以上の割合は、全死者数の約65%を占めていました。また障がい者の死者・行方不明者の割合は健常者の約2倍でした。平成30年の7月豪雨、令和元年の台風19号でも同様に、死者数の約7割近くが高齢者でした。
そのようなことから、令和3年5月には、災害対策基本法が改正・施行され、自力避難が困難な高齢者や障がい者などの「個別避難計画」策定が市町村の努力義務となりました。これは災害弱者の逃げ遅れを防ぐ狙いですが、現在、全国の市町村で、策定を終えているのは約1割に過ぎません。
ちなみに、千葉県内には54市町村ありますが、そのうち避難行動要支援者名簿に基づく「個別避難計画」が策定済なのは28市町村であり、県内市町村の半分以上で、いまだ計画が策定されていません。
一部の市町村では、防災担当職員が不足していたり不在だったりするため、私は6月の定例県議会において、県が市町村の個別避難計画策定に積極的に支援することを要望しました。
兵庫県では、防災と福祉の連携を強化するため、平成30年からケアマネージャー等の福祉専門職が平常時の介護保険や障害福祉サービス等利用計画を作成する際に、自主防災組織や町会・自治会と協力して、個別避難計画(災害時のケアプラン)を作成するという「防災と福祉の連携モデル事業」を実施しています。
この事業では、福祉専門職が個別支援計画を作成する際には、防災に関する知識を必要とするため、福祉専門職に対して「防災力向上研修」を実施しています。
さらに、兵庫県では福祉専門職が自主防災組織と連携して計画を作成・更新した際には、市町村は当該事業を実施した福祉事業所に対し、報酬として計画作成1件につき7千円を支払い、県はその半分の3千5百円を補助することとしています。
私は、この兵庫県の事業も参考に、千葉県においても「防災と福祉の連携」をさらに推進し、県内市町村の「個別避難計画」策定を促進するよう提言しています。