障がい者への日常生活用具給付等事業

 身体障がいには『身体障害者福祉法』により、「上肢障害・下肢障害」「視覚障害」「聴覚又は平衡機能の障害」「音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害」「内部障害」と、5つの種類に分類されています。

 また、『身体障害者福祉法』は、身体障がい者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律で、「自立と社会経済活動への参加を促進するため、援助及び必要に応じて保護し、身体障がい者の福祉の増進を図ること」を目的としています。

 そして国・地方公共団体は、その目的を総合的に実施するよう努めなければならず、国民は、身体障がい者がその障がいを克服し、社会経済活動に参加しようとする努力に対し、協力するように努めなければなりません。

 市町村が障がい者等の日常生活がより円滑に行われるための用具を給付又は貸与すること等により、福祉の増進に資することを目的とした、国の日常生活用具給付等事業というものがあります。たとえば、特殊寝台、特殊マットなどの身体介護を支援する用具、入浴補助や聴覚障がい者用屋内信号装置などの自立生活を支援する用具、電気式たん吸引器や盲人用体温計などの在宅療養等を支援する用具、点字器や人工喉頭などの情報収集・情報伝達・意思疎通等を支援する用具、ストーマ装具などの排泄管理を支援する用具など様々な用具があります。

 しかしながら、令和3年3月に公表された厚生労働省の自治体アンケート調査「日常生活用具給付等事業の実態把握 報告書」によりますと、たとえば、この事業で障がい者への給付、貸与の対象となる品目に係る地域の利用ニーズの把握状況を「特に取組は行っていない」という自治体の割合は81・1%で、対象品目の見直しも「特に見直しを行っていない」とした自治体の割合は30・3%した。そして、見直しを行う場合の参考情報については、「他の自治体の取組状況」が89・8%もあり、多くの自治体が「右にならえ」という状況です。そのため、パソコン、タブレット、スマートフォンのいずれをも、視覚障がい者への給付、貸与の対象としていない自治体が9割以上にも上るというのが実情です。

 また、日常生活用具に係る給付基準額の見直しも行われておらず、値上がりした分は、諸物価が高騰する中、障がい者の自己負担となっています。

 さらには、日常生活用具給付等事業や補装具費支給制度に係る情報提供も市町村によってまちまちで、中には、担当の窓口で事業や制度の内容が書かれたパンフレットを視覚障がい者に渡すだけという対応もあるとのことです。視覚障害者団体からは、担当者の直接説明を伺いたい、あるいは点字版、音声版、拡大文字版等のパンフレットを配布して頂きたいという要望も挙がっています。

 千葉県障害者差別解消推進地域協議会の委員である私は、来月の12月定例県議会で県に対し、多様な障がい者が抱える様々な課題の解決を国や市町村へ働きかけるよう求め、「誰もが暮らしやすい千葉県づくり」に尽力していくことを皆様にお誓い申し上げます。