「普通の高校生になって、普通のお嫁さんになって、普通のお母さんになって、普通に死にたい」
しかし、このささやかな夢が叶うことはありませんでした。骨髄の適合するドナーが見つからなかったために、骨髄移植を受けることなく、中学3年生、わずか15才で亡くなった、園上さおりさんが遺した言葉です。骨髄バンクは、この園上さんの、叶うことのなかった夢を語った言葉がきっかけで設立されました。
そして、千葉県の「骨髄移植におけるドナー支援事業」は、骨髄移植の促進を目的とし、骨髄を提供してもよいとする方が、提供しようとする際に「休めない」「通院等の経費は自己負担」であるという問題を補うために、ドナー及びその雇用先事業所に対して市町村が助成金を交付し、その金額の2分の1を補助するという事業です。
この事業は平成27年に私が県議会で提言をし、平成29年に新規事業として実現したものです。
この補助金の交付には、市町村が助成金制度を導入していることが前提となりますが、平成27年当時、千葉県には習志野市と我孫子市にしか、その制度はありませんでした。それが本年度からは県内54市町村全てに、骨髄移植に係る助成金制度が整備されました。
しかし、骨髄等の提供については、希望者全員が提供に至るわけではありません。公益財団法人日本骨髄バンクの「令和3年度事業報告・参考資料」によりますと、最終同意した方のうち、19・6%は患者の都合や術前健診の結果により提供に至っていません。
そのため、骨髄等の提供を完了した方に限らず、最終同意後に提供に至らなかった方についても、通院等による休業負担が発生している現状です。
さらに、提供に至らなかった方については、県の「骨髄移植におけるドナー支援事業補助金交付要綱」における市町村への補助金交付の対象外となっています。
千葉県の骨髄移植が可能な対象年齢・人口千人あたりにおける骨髄ドナー登録者数は、全国平均9・62人に対して、6・52人と非常に少ないことを鑑みますと、支援の対象者を拡大し、早急にドナー登録がしやすい環境を整備する必要があります。
そのことから、私は県に「骨髄移植におけるドナー支援事業補助金交付要綱」の補助対象を、最終同意後に骨髄等の提供に至らなかった方や、その対象者が就業する事業所にも拡大すべきと提言しています。
私は、骨髄バンクの登録者数を増やし、白血病等で骨髄移植を受けたい方々の命を救うため、これからも頑張ります。