フランスの哲学者・ヴォルテールは「汝の幸せは、他人の幸せによってつくれ」と云っています。この言葉は真実かもしれません。
厚労省が昨年7月に公表した日本人の平均寿命に関する最新の統計結果によると、令和3年年の日本人の平均寿命は男性が81・47歳、女性が87・57歳です。前年の平均寿命より、男性で0・09歳、女性で0・14歳下回りましたが、その理由として、厚労省は新型コロナウイルスや老衰による死亡率の変化を挙げています。ちなみに1960年の日本人の平均寿命は男性が65・32歳、女性が70・19歳で、平均寿命は今後も伸びると予想されています。
令和3年4月、「70歳までの定年年齢の引上げ」を事業主の努力義務とする等、高年齢者雇用安定法の一部改正があり、今後は70歳定年制の雇用形態は増えていくことでしょう。
しかし、定年後の「老後」は長く、その老後を高齢者が「孤独」や「孤立」に陥らず、いかに「生きがい」を持って「幸福」に過ごせるかが課題となってきます。
高齢男性の孤独・孤立の問題は特に深刻で、令和3年度の内閣府の調査では、60歳以上の男性のほぼ3人に1人が「家族以外に相談あるいは世話をし合う親しい友人が誰もいない」と回答しています。そして、この社会的に孤立している60歳以上の男性の割合は、31・3%で、8年前の前回の調査よりも5・4%も増えています。OECD加盟20カ国を対象とした「社会的孤立者の割合」の調査でも、その割合は、我が国が最も高いという結果でした。
男性は、会社一筋で懸命に働き、地域での人間関係もなく、定年退職で会社というタテ社会の組織から抜け、地位や肩書きを失い、ヨコ社会のただの一個人となった時に、家族以外とは話す相手がいないと気づくことが多いそうです。
また、一般社団法人日本少額短期保険協会が2019年に発表した報告書によると、全国の孤独死者数の約8割が男性だったそうです。
内閣府の令和3年度「高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果」には、「高齢者の社会参加は、新たな友人・知人をつくり、健康増進、生きがいづくり等、様々なプラス要因がある」「社会参加、社会との繋がりを重視する高齢者は、そうでない高齢者に比べ、生活の満足度が高い」と報告されています。
孤独に陥らず、孤立せず、長い人生を幸福に、有意義に過ごすには、早いうちから職場以外の社会や地域と繋がりを持ち、仕事以外の生きがいをみつけることが重要です。それは自らが幸福になるばかりではなく、周囲の人たちも幸福にすることです。
引退後の男性をいかに『地域デビュー』させるかが、地域社会の課題です。私は昨年2月定例県議会で、県に対し「高齢男性の社会参加や社会との繋がりを促すような取組を強化すべき」という提言をしています。