船橋市を含む千葉県の農業も危機的状況を迎えています。第1に、千葉県の農業従事者の平均年齢は66.3歳であるという高齢化の問題です。第2に農業後継者がいる比率が43.3%という後継者不足の問題です。この数字から考えると、わずか数10年で千葉県の農業は衰退し、滅びてしまう可能性すらあります。一昨年、総務大臣を務めたこともある増田寛也さんが書かれた「地方消滅」という本がベストセラーになりました。その本によれば、千葉県の54市町村のうち、実に27市町村が少子高齢化の影響で今後、自治体として維持できずに消滅する恐れがあるとされています。そして、それらの市町村における主要産業は農業です。
そのような状況の下、「梨」を生産する農家は頑張っています。ご承知でしょうが、千葉県は梨の「収穫量」「栽培面積」「産出額」のすべてにおいて日本一で三冠王です。また船橋市の県内における梨の収穫量は、白井市、市川市、鎌ヶ谷市に次いで、県内4位です。そして船橋市の梨は高品質であることに加え、船橋市非公認キャラクター「ふなっしー」の活躍のお陰もあり、市場でとても人気があります。
しかし、梨の収穫後に剪定される枝は、農家の負担により自治体の処理場で焼却していますが、毎年大量に発生するため、その処分に係るコストが課題です。また、船橋市で梨農家が市の清掃工場に剪定枝を持ち込むには、剪定枝をある程度の長さに切りそろえ、それを束ねて、清掃工場まで運搬しなければなりません。剪定の仕事自体が重労働であることに加え、この、切りそろえる、束ねる、運ぶといった一連の作業は、労力と時間を要しますので、高齢の農業従事者にとって大変な負担です。
先月の県予算委員会で「梨の剪定枝を活用した新商品開発・産地活性化事業」(地方創生加速化交付金事業)を取り上げ、県の執行部と質疑しました。この事業は、梨の枝には化粧品に配合される「アルブチン」という成分などが含まれるので、これを利用し化粧品をはじめとする新商品を開発することを通じ、「日本一の梨の産地」としてブランド力の向上と産地の活性化を図るというもので、剪定枝の効率的な収集・集積方法も検討するという事業です。私は、農業従事者の負担軽減のため、梨の剪定枝の効率的な収集・集積方法を更に検討するよう要望しましたので、今後について注視していきたいと考えています。
日本人の「勤勉さ」などの成功の秘訣は、農業に従事することにより鍛えられ、育まれてきました。「農」は国家の根本に係るものです。高齢化と後継者不足、地球温暖化、TPP等、農業を取り巻く環境は大変厳しいですが、今後とも農業支援に尽力致します。
平成28年4月3日 野田たけひこ