2004年「持続可能な開発、民主主義と平和への貢献」により、環境分野の活動及びアフリカ人女性として史上初のノーベル平和賞を受賞したケニアのワンガリ・マータイさんは、2005年に来日した際、日本人のモノを捨てずに大切に使おうとする言葉「もったいない」を世界共通語「MOTTAINAI」として広めようと提唱しました。
この「もったいない」という言葉はReduce(ゴミ削減)、Reuse(再利用)、Recycle(再資源化)という環境活動の3Rをたった一言で表せるだけでなく、かけがえのない地球資源に対するRespect(尊敬の念)が込められている美しい日本語です。残念なことに、この言葉を生み出した日本において、先日、節分の際に「恵方巻」が大量廃棄されるというような「食品ロス」の問題が報道されました。そして国全体では年間約643万トンもの食品が食べられることなく捨てられているという実情があります。
この「食品ロス」の問題についてですが、国も消費者庁、文科省、農水省、経産相、環境省が連携して「食品ロス削減国民運動」を進めており、昨年の10月1日からは「食品ロスの削減に関する法律」が施行されました。千葉県においても「ちば食べきりエコスタイル」という運動を展開し、「食べきれる量の注文、購入、調理等」を心がけて頂くよう、県民に呼びかけています。
しかしながら、この食べきれる量の注文、購入、調理等というのは、なかなか難しいもので、皆様も外食において、どれ程の量の料理が出てくるか分からず、つい適量以上の量の料理を注文してしまったという経験はないでしょうか。また新年会等の宴席において、参加者全員でどれ程の量の料理を用意すればよいのか分からず、大量の「食べ残し」(食品ロス)が生じてしまったという経験はないでしょうか。
このような食品ロスが起こらないように、「ドギーバッグ」と称して「外食時の食べ残しの持ち帰り行動」という取り組みがあります。例えば、アメリカでは持ち帰りたいとお店に言うのはもちろん、店側から「持ち帰りませんか?」声を掛けられたり、黙ってテーブルに容器を置かれることもあるそうです。
「ドギーバッグ」という名称は、英語のdoggy bag(犬のための容器)ということですが、それは、お客様がお店で「犬に食べさせる」という建前で食べ残した料理を持ち帰り、実際にはお客様本人が、その食べ残しを食べるという、その建前を尊重することから、そのような名称となりました。私が日頃、利用しているものはデザイン性、携帯性を強く意識したもので、とてもコンパクトです。また、自己責任カードも付いています。
持ち帰るものは食品ですから、時間の経過によって鮮度が落ちます。あまりにも時間が経過した場合、食中毒のリスクも発生します。つまり「ドギーバッグ」を携行するということは、自己責任を前提にしています。
それでも私は、食品ロス削減のため、世界共通語である「MOTTAINAI」を広め、「ドギーバッグ」の携行を提唱します。
令和2年2月9日 野田たけひこ