教員不足について

 昨年発表された子どもたちのなりたい職業ランキングでは、「教員」が中学生・高校生ともに1位となりました。

 このランキングは、東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が、2015年から10年にわたって実施している「子どもの生活と学びに関する親子調査」に基づくもので、「教員」は中学生・高校生で10年連続1位という結果になっています。

 しかし実際には、全国的に教員採用試験を受験する若者は減少しており、千葉県も例外ではありません。

 千葉県教育委員会が今年の6月12日に発表した、令和8年度(2026年)、来年の春に採用の公立学校教員採用試験の志願状況によりますと、小学校教員の志願倍率は1・5倍と、前年度から0・1ポイント下回り、平成以降で最低でした。全体の志願倍率も2・5倍と、依然として低調です。

 さらに、必要な教員数を確保できない「教員未配置」の問題も深刻です。昨年2月時点の県内の公立学校における教員未配置数は449人にのぼり、県が統計を取り始めた平成28年度(2016年)以降、最多を記録しました。この問題は現在も解消されていません。

 教員不足が続くなかで、県内の公立学校ではさまざまな支障が出ています。たとえば、本来教員が担当すべき授業が自習になったり、国語や社会科等の教員免許を持たない教員が授業を担当せざるを得なくなったりする事例が発生しています。これにより、教員の多忙化にも拍車がかかっています。

 中高生で「なりたい職業」で常に1位となっているのに、なぜ教員志望者は減少しているのでしょうか。教員志望の学生を対象にしたアンケートによりますと、志望者が減っている理由として、①「長時間労働など過酷な労働環境」②「部活顧問など本業以外の業務が多い」③「待遇(給料)が良くない」との回答が寄せられています。

 そして、回答者の約4割近くが「教員を志望していたが迷っている」さらに約2割以上が「志望をやめた」とも回答しており、志望離れの深刻さがうかがえます。

 こうした状況を受けて、県教育委員会も「学校における働き方改革推進プラン」や、「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策(提言)」などを策定し、教員の働き方改革に取り組んでいます。しかし残念ながら事態の進展には至っていないのが現状です。

 教員になろうという若者が減ることの弊害の一つとして、以前であれば採用されなかった人が採用されるケースが増え、教員の質の低下が懸念されています。

 教員志望者の減少による教員の質の低下、教員不足による教育の質の低下を防ぐためには、教員の働き方改革を早急に進める必要があります。そして、子どもたちが憧れる「教員」という職業に安心して就けるような環境づくりが、いま強く求められています。