10月15日に文教常任委員会が開かれ、私は少人数学級の実現などについて質疑を行いました。国が定めた「義務教育標準法」により、平成23年度から小学1年生の1学級の人数上限は35人となり、翌年度からは小学2年生も35人と定められています。一般的に少人数学級の利点として、教師1人に対する生徒の数が減り、「子どもの個性に合わせてきめ細やかな教育ができる。」「学力の向上ばかりでなく、生活指導も充実させられる。」といわれています。平成22年の調査によりますと、経済協力開発機構 (OECD)諸国の平均学級規模は21.6人ですが、日本は28.0人で、韓国、チリに次いで3番目に多い国でもあります。昭和34年の1学級の人数の上限は50人で、その当時の教育を受けた方々には「なぜ少人数学級を実現しなければならないのか」と、なかなか理解が得られないこともあります。しかし、かつてはモンスターペアレントもいませんでしたし、小学生が英語を教わることもありませんでした。そして、お箸の使い方は家庭で教えるものでした。教育環境が以前とは違います。
さて千葉県では、小学校は1年で国の基準通りの35人以下の人数、2年からは35人、3年からは38人を多少超えてもしかたがないとする弾力的な運用となっています。そして学級数や児童数に応じて教職員が配置されますが、現場の実情に応じての配置となっていません。たとえば35人の弾力運用では、2年生に71人の児童がいたならば24人の3学級編制(県基準では3学級を編成するには最低71人の児童数が必要)が可能です。しかし3年生となりますと38人の弾力運用となり、児童数が77人いなければ3学級編制はできなくなります(県基準では3学級を編成するには最低77人の児童数が必要)。これにより今年、船橋市の小学校11校で学級編制時に児童生徒の数は変わらないのに、県の基準により教職員を配置できず、学級数を減らさなければならない事態となりました。中学校でも1年生から2年生へ進級する際に、同様なことが起こっています。弾力運用では、現場にこのような弊害をもたらしますが、義務教育全学年で少人数学級を完全に実施するには教職員を増やさなければなりませんが、それは基本的に国が行うことになっています。
私は委員会の質疑で、少人数学級の弾力運用の問題点と現場の混乱を取り上げて少人数学級実現への取り組みはどうなっているのかについて県の答弁を求めました。しかし、県の答弁は「実情は承知している。教育予算拡充を引き続き国に要望する」というものでした。 千葉県議会では毎年、少人数学級の実現などを内容とする「教育予算の拡充に関する意見書」が採択され、国に対して提出されています。今年も7月3日の本会議で全会一致の採択でした。国に対する要望も必要ですが、毎年毎年、要望だけの繰り返しで、千葉県は現場の声に耳を傾けず積極的に動こうとはしません。市町村からの要望で、国が応えられない時に対応するのが県の役割です。
ちなみに、新潟県はこれまでも公立小学校1、2年生で国の基準よりも少ない32人以下学級でした。これは学校にまだ慣れていない幼い子どもへの配慮です。そして今年から公立小学校の6年生と公立中学校の2、3年生についても原則1クラス35人以下の少人数学級にすることを決めました。これにより千葉県のように学年によって弾力運用をするのではなく、義務教育9年間すべてで、原則1クラス35人以下の少人数学級が導入されることになります。自分たちは苦しい思いをしても、せっかく頂いた「米百俵」を売って、子孫のために学校設立資金にまわした土地柄です。新潟には今でも、その伝統が生きているようです。