昨年のちょうど今頃、財務省は文科省に対し少人数学級が導入されている小学校の低学年を40人学級に戻すよう求めてきました。その理由は少人数学級と学力向上との間に因果関係は認められないとするものです。教育現場や文科省の反発により、それは撤回されましたが、今年もまた、財務省は少子化に伴い学級数が減るため、「1学級当たりの教員数平均1.8人」の現在のレベルを維持しても、来年度から平成36年度までの9年間で約3万7千人の教職員の削減が可能とする方針を打ち出しました。それに対して文科省は、学校での課題の複雑・多様化を強調し、5千人減が妥当である旨の反論をしました。また教職員を削減できる状況にないこととして、就学援助を受けている子どもの割合は20年前には16人に1人だったものが、今は6人に1人。発達障害などで通常学級とは別の教室で指導を受ける「通級指導」の対象となる児童生徒の数は10年間で2.3倍にもなっていること等も、財務省案反対の理由としています。
財務省が歳出削減のため知恵をしぼるのはわかります。また財務省が統計上小1のいじめや暴力行為が以前より少し増えていることや、少人数学級を実施している学校の全国学力テスト結果に効果がみられないことなどから少人数学級について懐疑的になるのも理解できます。それに対し文科省が、いじめ件数の増加については、教職員の意識や目配りが細やかになり「認知件数」が増えたこと、また学力向上がないというのにも、成果は現場の種々の実例に基づき、長い目で見る必要があることなど、広く情報発信し、説明すべきでしょう。
11月25日に第3回定例県議会が開会されます。私が所属する民主党会派では、代表質問で何を取り上げて議場で質疑するかについて、それぞれが所属する委員会の委員が判断できるとされていますので、文教委員会に所属する私としましては、今回の代表質問には少人数学級実現に対する県の姿勢について質疑して頂こうと思っています。少人数学級を実現するためには、国の財政措置が必要です。国が予算編成を急ぐ中、あらためて自民・公明・民主により共同提出され全会一致で採択され、国に提出された少人数学級の実現等を内容とする「教育予算の拡充に関する意見書」、「義務教育費国庫負担制度の堅持に関する意見書」に対する県の姿勢を確認しようと思っています。